なぜ走る? 文化系レベルランニング

東京マラソン2010にたまたま当選してしまった「読書が趣味」の文化系人間。40代半ばを過ぎた今も、なぜ走り続けているのか? 走ることの意味を問い続ける平凡なランナーが、身体や心理のことからグッズ、レース、書籍のことまで幅広い視点から展開する、一味違うランニングブログです。

カテゴリ: トレラン


後脚(軸足)が着いていると安定

もう少し考えてみます。
もし階段をゆっくりと降りるとしたら、前脚が下の段についたときに、後脚が上の段に残っていて浮いていません。段差をゆっくり降りると安全なのは、両脚がついて安定するからでしょう。

一方、トレランではふつう、山を走って降ります。着地の時は後脚が浮いている状態がほとんど。だから安定感がなく、危険が大きい。

山を走り降りれば、後脚は地面から離れるもの。でも、その時間をなるべく短くすることはできます。
もしスピードが上がったとしても、後脚が浮いた状態をなるべく少なくできれば、より安全に降りられるのではないか?


残った後脚の太ももの位置

段差を降りるためには、体全体の位置が下がる必要があります。前脚が下の段に着くとき、腰の位置も下がる。
後脚の太ももを前に出すと、腰も一緒に下がりますが、上体は前にかがみ、しゃがむ姿勢になります。しかし、いくら安全重視も度が過ぎるのは考えもので、一歩ごとにしゃがんでいては疲れてしまいます。後脚の太ももを股関節よりも前に出してしまうと、腰が引けてしまうのでうまく走れないのです。軽快に降りるためには、なるべく太ももを前に出さないようにして段差を降りる必要があります。

腰が引けないようにするには、私の経験上、太ももを股関節よりも後ろに持っていくのが理想です。
しかし、前回も書きましたが、走っているときに後脚の太ももを後ろに動かしても、その感覚はわかりにくい。
「後脚の太ももを股関節よりも後ろ」という動きは、実際には、股関節より前に出そうな太ももを出さないようにこらえるイメージです。
実際には、後脚は前脚に変わるので、段差を降りる動作のどこかで前に動くはずですが、身体が下がり始めるときには前に出さない。前脚は真下に降ろすようにする。こうすると、お尻が引けずに身体を真っ直ぐにして、段差を降りられます。


太ももを前に出さずに膝とつま先を使う

太ももを前に出さないで、腰の位置を下げるにはどうすればようでしょうか?
しゃがまずに体幹部を真っ直ぐの状態で腰を落とすには、膝を曲げるしかない
太ももを前に動かさないようにこらえて、膝を曲げれば腰の位置を下がることになります。
上体は真っ直ぐなまま前に出て、膝が曲がった分だけ下に下がります。この時には、後脚はまだ上段を離れていません

ここで気づくことがあります。
それは、股関節を曲げずに膝を曲げると、すねが前に倒れて、かかとが浮くことです。
しゃがむときはかかとが地面に着いている方が楽ですが、股関節を曲げずに腰を落としていくと、かかとが必ず浮いてきます。この時体重がつま先側にかかって足指を使うことになります。これは一連の動作でそのようになるので、自然につま先を使うようになるのです。


実際にこれで降りてみると

実際にこれで山を降りてみて気づいたことを書いてみます。

1.前脚も自然とつま先着地になります
つまりフォアフットですね。良い点は、前脚のつま先が伸びる分だけ下の段への距離が短くなり、かかとで着地するより早く足を地面に着けられることです。

2.滞空時間が長いように感じます
後脚が上の段に残っていても、膝が前に倒れる分だけ体幹部が前方に出ています。この時、体幹部は上段よりも前、つまり空中にあります。これが滞空時間が長く感じる原因ですが、最初のうちは怖いです。でも、すぐに慣れます。

3.股関節つけ根の前側が伸びる感じがします
股関節が硬いひとは、太ももが前に出て腰が引けやすい。身体を前に進める時に、太ももが前に出ないようにこらえると、太ももつけ根が延びる感じがします。ストレッチをして股関節の可動域が広がると、股関節が伸びたことがより感じられます。

4.太ももがそんなに疲れません
腰が引けずに走れるため、太ももで踏ん張る力が少なくて済みます。また、ある程度のスピードが維持できます。

5.心にすこしだけ余裕が生まれます
腰が引ける走りよりも身体への負担が少ないので、私はその分だけ気持ちに余裕が生まれました。
ただし、これも慣れの部分が大きそうです。身体の使い方は、実際に山を走って慣れることが大事ではないかと思います。


まとめ

今回、股関節の柔軟性と山下りの身体の動き、そしてその心理的な部分について自分なりに考えてみました。
後脚の股関節から太ももを前になるべく動かさないようにする。身体の動きについては、このことが大切で、身体の動きの負担が軽くなると、心にも余裕が出るようになったようになりました。結局、身体が安定が心の安定につながり、山下りの恐怖が薄らいだようです。

私はふだん椅子に座っていることが多く、両方の太ももが股関節から前に曲がっている状態が普通になってます。歩くときも座ったままのような腰のかたちで、太ももが前に曲がりがちでした。今思えば、そんな状態で山をかけ降りることが、不安を大きくさせる原因だったのではないかと思います。
しかし、身体の使い方をすこし変えるだけで脚が楽になり、精神的にも余裕が出ました。そして、山を下るスピード感が、恐怖から楽しさに変わりました。

山下りが苦手な男性ランナーには、後脚の太ももを前に出さないぜひ試してみてほしいです。
まずはご自宅近くの公園などで小さな段差を見つけて、練習してみるのがよいかもしれません。私のように身体が硬い方は、ストレッチをして柔軟性を高めることをお勧めします。私はストレッチをして股関節の柔軟性をつけてからは、太ももを前に出さずにこらえられるようになりました。

猛暑が終わりだいぶ涼しくなってきました。そろそろまたトレランに出かけようかと思っています。



股関節は実際どう使う?

そんなこんなで、ストレッチに励んで股関節を柔らかくしつつ、いよいよトレランで実戦訓練開始。
山に走りに行ったときには、股関節を意識して山を降りるように気をつけました。

問題は、股関節をどう使うかということです。せっかくある程度開くようにしたので、この開きを使わない手はありません。

しかし、開くといっても、「前後の縦方向」と「左右の横方向」があります。
まあ、普通に考えてみると、わざわざ股を左右に広げて坂をかけ降りるのはアホみたいです。ここは直感的に判断して、股関節は前後に開いて使うことを意識しました。


前脚と後脚

ところで、股を大きく前後に広げて走ると、歩幅が大きくなります。下り坂で歩幅を大きくすると、スピードが出て危険です。
もちろん股関節を柔らかくしたは速くかけ降りるためだったのですが、歩幅を大きくしてガンガンかけ降りるのは、自分のイメージとはちょっと違います。

そこで考えました。
脚を前後に開く場合、前脚を前に、後脚を後ろに、と両方の脚を動かしてしまうと、歩幅が大きくなりすぎてしまいます。なので、前脚か後脚どちらか一方の足だけを意識して開くことにしました。


後脚を意識する

まず、「前脚を大きく出し後脚はそのまま」という方法。前脚だけ開くということは、太ももを持ち上げることになります。下り坂で太ももを持ち上げるということは、ちょっとおかしなことになるのは、やる前から薄々気づいていましたが、その通りでした。
前脚を持ち上げて段差を降りると、身体全体を前に倒さないと段差を降りることができません。実際にやってみたところ、怖くてノケゾリました。
恐怖心を克服するどころか、さらに恐怖心が増してしまいます。

次に、「後脚の太ももを股関節から後ろに動かし、前脚はそのまま」という方法を試しました。残った後ろ脚の股関節を開くのです(お尻を持ち上げるイメージ)。この時に、前脚の股関節はあまり動かさない。
残った後脚は軸足ですので、実際には後ろに移動するわけではありません。骨盤に対して後ろ向きに動くというか、軸足がわずかに残る感じになります。
段差を降りる時は、膝が大きく動くので、動きの小さい股関節を感じることが難しいです。でも、意識すると何となく違いがわかります。

後脚の股関節は、感じられる動きがその程度だったので、見た目には劇的な変化はありませんでした。
しかし、そんな小さな感覚の変化でも、大きな効果がありました。
それは、のけぞらずに山を降りられるようになったということです。


後脚(軸足)の股関節の動き

では、何でのけぞらずに降りられるようになったのかを考えてみます。
大きな段差をゆっくりと降りるとしましょう。
この時に後脚(軸足)の股関節が前に動くと、しゃがむような姿勢になって、腰が引けてしまいます。そして、しゃがむ動作を何度も行うと、太ももの前側がすぐに疲労してしまいます。私がトレランで、いつも太もも痛に悩まされていたのはこれが原因と思われます。

腰が引けると上体が前に傾いて、段差が前にあれば、突っ込むような態勢になります。昔の私のノケゾリ走法は、この前のめりに傾いた重心を、後ろに引き戻した結果だったのです。
逆に、後脚の股関節を後ろに動かせば、腰が引けることはありません。腰が引けるとき、必ず後脚の太ももが股関節より前にきているのです。

太ももが前に出ると腰が引けるので、太ももが前に行かないことが大切です。
ストレッチで股関節を柔らかくする前は、私の太ももは前に行きがちでした。恐らく、太ももが股関節より前にある状態で固まっていたのでしょう。


ガニ股は腰が引けがち

少し余談となりますが、この腰が引ける現象を考えていて、思い当たったのが、段差を降りる時の股関節の横への動きです。
大きな段差をゆっくりと降りる時、太ももが股関節より前に動く(腰が引ける)とガニ股になりがちです。段差に対して、軸足を横に向ければ足の裏全体が地に着き安定し、大きな段差を降りやすいからです。

ということで、ガニ股もまた、腰が引ける要因のひとつではないかと思ったので、ここに書いておきました。



つづく

前回、トレランの山下りについて考え、 そこでスピードが出せない理由は「恐怖心」であると話しました。今回はその続きとなります。


体の柔軟性が効くかも?

私の友人の女性は、トレランの下り坂を私よりも速く走ります。しかし、マラソンをすれば私の方が速い。
トレラン大会に出るとよくわかるのですが、一般的に女性は登りは遅く下りは速い(男性についてはいろんなタイプがいるので一概には言えません)。
私の場合は、もちろん登りが得意。トレランレースでは、登りで女性を抜かし、下りで抜かされるというのが私のパターンでした。

私は考えました。
なぜ女性は下りが速いのか?
真っ先に浮かんだのが、身体の柔軟性です。
女性は男性と比べると体が柔らかい人が多い。筋力がなくても速く走れるのは、柔軟性の違いではないか。こんな仮説を立ててみました。


柔軟な心は、柔軟な身体に?

一方、身体の柔軟性は、心の柔軟性とも関係があるかもしれません。
身体の柔軟性は心の柔軟性(かもしれない)。
とこかで聞いたことのあるような昔風の精神論ですが、前回書いた「作り笑顔で山下りの恐怖心に打ち勝つ」というオマジナイよりは効きそうです。

身体を柔らかくして、恐怖心を克服。山下りが楽しくなる。
本当は、そんなに難しいことを考えていたわけではありません。体が柔らかければ山下りが楽になるかもしれない、という程度の思いつきでした。そして、とりあえずストレッチでもしようかなあ、と。


「体が硬い人はケガをしやすい」と言われますし、
とりあえず身体を柔らかくすることには損はなさそうです。
私は数年前までは、マラソン仲間の間で1、2を争うぐらいの硬い体の持ち主でした。前屈すれば、指と地面の間には30cmの開きがあったものです。そして実際、あの頃はケガが多かった。


さて、どこを柔らかくすれば良いのだろうか?

ということで、走る練習の前後などに、体の柔軟性を高めるにストレッチをすることにしました。
しかし、私の身体は、首、肩と肩甲骨、腰、股関節、とほぼ全身がそれなりに硬かった。
柔らかくするべきところがあり過ぎ(笑)。
しなやかな女性達のように走るには、どこを柔らかくするればよいのか?

思い当たるふしがありました。
私の経験上、男性はガニ股が多く、女性は内股が多い。男性と女性の歩く姿の一番の違いは「股の開き方」です。
ガニ股男である私から見れば、 X 脚で走る女性を見ると信じられない気持ちになります。

このガニ股ですが、膝が開くことであのO脚フォームになります。しかし、膝という関節は前後に曲げるか伸ばすかがメインの動きで、左右に曲がったりしないようです。
では、膝の開きはどの関節が決めるのか?
膝の位置を左右に動かしてよく観察すると、どうやら股関節が膝関節まわりのフォーム作っているようです。
ガニ股の原因は股関節にアリ!(たぶん)
ということで、股関節の柔軟性を重点的に高めることにチャレンジすることにしました。


さっそく体を柔らかくするためにやったこと

股関節に関しては、お尻をついて床に座り、両足裏を合わせて膝を両サイドに広げて蝶のようにパタパタとやるアレや、足を前後に開いて腰を落としていく深いランジのポーズなど、効きそうなストレッチを片っ端からやるようにになりました。

ところで、ストレッチというのも毎日少しずつやっているとけっこう効果があります
上体の前屈などは半年もやれば、私でも地面から5cmぐらいまで届くようになりました。
ところが、股関節はなかなか柔らかくなりません。
どうやら走り過ぎて股関節まわりの筋肉が硬くなってしまっているようです。
それでも、しつこく毎日繰り返していたら、股関節の横(開脚)と縦(ランジ)の開きが多少大きくなってきました。
継続は力なり!

つづく

トレイルランニング(トレラン)の醍醐味は、「山を駆け下りる爽快感」をあげる人が多いのではないでしょうか?
確かにトレランの下りはスピードが出て楽しいものです。しかし、私がトレランを始めた当初は、そんな爽快感を楽しむ余裕などはありませんでした。


山は下りが難しい

山に行くと大抵の場合、「登り」と「下り」のふたつがセットになっています。
「登り」はきつい反面、「下り」は重力を利用して簡単にスピードが出せます。しかし、スピードが出る「下り」では、バランスを崩しやすく、身体のコントロールが登りよりも難しくなります。

また、トレイルは、石や木の根や枝など、障害物がいっぱいで、足の置場を常に考えなければなりません。そんな状況でスピードが出てしまうと、複雑な路面に対応する時間がさらに短くなり、誤った判断によるケガの可能性も高くなってしまいます。「下り」はスピードが出て忙しいのでケガをしやすい、ということです。

トレランに初めて参加した数年前、ロードのマラソンの経験があった私は、トレランの山下りの「走れなさ」に驚きました。マラソンとトレランはまったく別の競技だと初めて知ったのです。
山道は簡単には下りられない。その事実を知り、自分が「下り」が苦手であることを悟った私は、自分なりの山下りの解決策を探ることにしました。


工夫と失敗からのスタート

私はマラソンの延長でトレランを始めたため、その経験をもとに自分なりに工夫を重ねました。腹筋に力を入れてみたり、つま先を開いたり閉じたり、と様々な体の動きを山下りで試しました。
そして、そんな試行錯誤のなかからひとつの解決策が見えてきました。それは、腕をなるべく後ろに引くという方法でした。
腕を肩から後ろに引いてのけぞると、下り坂でもけっこう安定します。下り坂で重心が後ろになり身体が前に倒れ込むことを防ぎ、スピードが出過ぎないのです。

この「工夫」に関しては当初、うまくいったように気がしました。何の工夫もなかった頃よりは、確かに良い。しかし、それまでののろのろ運転よりは多少速くなっていても、仲間たちには全然追いつけません。
結局のところ、私がしていた「後ろにのけぞる姿勢」は、身体が安定してバランスはよくなるものの、同時にブレーキをかけていたにすぎなかったのです。

下り坂で安定してブレーキをかける。これが私の「ノケゾリ走法」の効果で、基本の身体の動きはロードを走るときのまま。下り坂でスピードが出る分だけ余計に脚へ負担が大きく、トレラン翌日は太ももの前側の筋肉痛が激しくなりました。
このノケゾリ走法を積み重ねるうちに、副産物として太ももが強くはなりました。しかし、山下りは速くはならず、他の方法が必要だと悟りました。


恐怖心が体の動きを支配する

この最初の"工夫"の動機は何かといえば、それは間違いなく恐怖心です。
怖いから重心を後ろに持ってきてブレーキをかけたまま身体を安定させる。前後に身体がぶれないから安定はしますが、ブレーキをかけ続けているから、脚がシンドイ。
このブレーキは恐怖心の表れなのです。

ところで、この恐怖心はどこからくるのでしょうか?
実は、私はトレランを始めて2年くらいまでに、足首の捻挫2度、手の指の骨折を1度経験しています。トレランというものは、やはりケガが多い。
ロードと比べれば注意すべきことが多すぎるほど多い。たとえば、舗装された道路ならば、数秒間目をつぶって走ることができても、山ではほぽ不可能です。
山は石や木の根、滑りやすい苔など、危険がいっぱい転倒時のケガや、滑落を恐れるの心理が、山を走るときの恐怖心なのです。


恐怖心をなくさないと楽しくない

私はケガをしてもなおトレランを続けています。ということは、山が危険だから嫌いになるというわけではありません。
ケガについても毎回するというわけでもない。だから、ケガを必要に恐れる必要はないのですが、私の行なったノケゾリ走法の根本には、下り坂に対する恐怖がありました。
腕を引いてのけぞると身体が安定すると同時にブレーキがかかる。これで恐怖がわずかに薄まります。とりあえず恐怖心が和らぐために、ノケゾリ走法を身につけて以来、しばらくは気持ちよくのけぞって山道を下っていました。

しかし、ここに問題が起こりました。それは、あまり楽しくないということでした。
まず、のけぞって走ると、スピードが出ません。その結果、仲間と一緒に走ると遅れてしまいがちになります。これが楽しくない理由のひとつ。
もうひとつの理由は、恐怖心が消えないということ。のけぞるのは恐怖心がベースにありますから、それを維持したままの走りは楽しくないは当然です。

スピードを抑えるだけでは楽しくありません。
もう少し楽しくトレランをするためには、発想の転換が必要でした。


「ノケゾリ」のパラドクス

私がそんな「のけぞるトレラン」を続けているある日、ネットを見ていると、心理学についてのある記事が目に留まりました。
そこに書かれていたのは「笑顔をつくると楽しい気持ちになる」というようなことでした。普通は、楽しいから笑顔になると考えますが、笑顔を意識的につくる、つまり「つくり笑顔」だけでも明るい気持ちになる言うのです。
これをトレランに応用するなら、「楽しく走るには笑顔をつくればいい(???)」ということになります。
私はさっそくこの方法を取り入れ、ノケゾリ走法で笑顔をつくってみました。
結果は・・・引きつった笑顔で顔がこわばりました(笑)。緊張のせいで、逆に恐怖が意識されてしまい失敗でした。

このとき、私はひとつの気づきを得ました。
もし「ノケゾリ走法」が恐怖を表現しているのなら、これを続けているかぎり恐怖から逃れられない。ノケゾリは恐怖に対する処方箋のひとつではあるが、ブレーキの役割があるノケゾリの根っこには恐怖がある。この「ノケゾリのパラドクス」を解消しなければ、トレランを楽しくすることができません。
つまり恐怖心をなくすことが大切だと気づいたのです。
というわけで、今度はのけぞらなくて走れる方法を探ることにしました。


つづく

今年(2018年)のゴールデンウィークは、山梨県にある七面山(しちめんさん)にトレイルランニングに行ってきました。

初夏のこの時期はマラソンシーズンも終わり、気温も高くなってきます。寒い時のようにはガンガン走ることができず、山に行くことが増えてきます。

これが真夏になってしまうと、木々の影に覆われた山の中すらも暑い。草が生い茂り、虫もいっぱいになるため、トレランができる山も限られてきます。

そんなこんなで、まだ暑くなりすぎない大型連休を利用して、七面山に挑戦してきました!



七面山とは


七面山は山梨県の南巨摩郡にある山で、標高は1,989m。下の地図のとおり富士山のほぼ真東に位置します。

信仰の山として知られ、私が去年登った身延山の近くにあります。

七面山の由来については、身延山久遠寺のホームページに詳しい説明があります。



七面山地図


富士山の真東ということは、春分・秋分の日には富士山頂から日が昇る様子を観ることができます。
ダイヤモンド富士が見られるというので、この両日には多くの人が訪れるとのこと。
私も一度見てみたいものですが、ご来光を眺めるには夜明け前に登る必要があり・・・


今回この七面山を選んだのは、去年のゴールデンウィークに登った身延山の山頂から見えた七面山が印象的だったからです(昨年の記事→GWラン2017(その3)男ふたり。"天城越え"トレラン! )

また、この地で開催されるトレランのレース「修行走」では、身延山と七面山の両方を登ると聞くにおよび、二つの山がセットのように思えてたため一度登らないではいられなくなったというわけです。


登山コース

七面山登詣のしおり」によりますと、七面山を登るには二つの表と裏の二つの山道があるようです。今回は代表的な表参道の方から登ることにしました。

表参道には四つの坊があり途中で休憩が取れるそうで、これだけ整備されていればトイレなどの不安もありません。
登山口入口から50丁目、
山頂近くの標高約1700m地点にある敬慎院という七面大明神をまつる寺院があります。ここは宿泊もできるようですので、ご来光を眺めるために泊まってみるのも悪くなさそうです。

事前の調べでは、この50丁目付近に富士山を眺める絶景スポットがあり、頂上はもう少し先ですが展望がないとのこと。とりあえず今回は表参道から頂上を目指し同じ道をもどるピストンに設定しました。

スタート地点の登山道入り口の標高は約500m。山頂は約2000mですから、 単純に計算して1500m登ることになります。標高差1500mとなると、富士山を富士宮ルートの5合目から登るよりも大きな標高差になります。だからなんだと言われれば、この比較には特に意味がないのですが、なんとなくすごいと思いませんか?(笑)



いざ出発


今回は友人のF君と共にやってきました。彼は私よりもはるかに高い身体能力をもつ健脚のひとですが、マラソンには特に興味がないらしい。山を走ったり歩いたりするのが好きなようです。

到着時刻は7時。 7時半頃から登り始めました。
登山の時間としてはそれほど早いわけではないらしく、登り始めるとすぐに降りてくる人たちがいました。きっとご来光を見た人たちなのでしょう。


表参道登山道入り口にはわかりやすい看板が立っていて七面山の案内図があります。その入口から、登りやすい階段がつづき、これをひたすら登り頂上まで行きます。特に難所などがあるわけでもなくひたすら階段を上っていくそんな登山です。

この山のポイントは、途中で何妙法蓮華経と唱える修験者たちに出会うこと。去年身延山を登った時には修験者には会いませんでした。七面山と身延山では、登ることに対する意味合いが違うのでしょう。身延山はロープウェイもありますし・・・。
この修験者たちが大きな声でお経を唱えて歩く姿を見ると、ちょっと尊敬の気持ちがわきます。

この表参道には、4ヵ所の坊のほかに、長椅子などが各所に置かれています。簡単に休憩できるため、初心者にも非常に登りやすい山であると言えます。


ひたすら階段を登り敬慎院に

とにかく階段が延々と続きます。登っていると時々お経を唱える声が聞こえ、上から降りてくる人たちとすれ違います。毎週末こうなのかどうかはわかりませんが、一番大きな集団は100人ぐらいいたかと思います。
また下山してくる人たちの中では、小さな子供を連れた方や、年配の方も数多く見かけました。中でも驚いたのは、足が悪いのか杖をついて歩いている年配の女性で、その足で登ったのかどうかはわかりませんが、下まではあの足で歩いていくのでしょう。その頑張りに、少し勇気をいただきました。
さて、私の登山はと言いますと、階段を一定のペースで登り、喉が乾くと参道脇のベンチに座って少し休むという繰り返し。途中の坊には休憩をしている方がいらっしゃったのでそこに止まることはありませんでした。

やがて標高1700mの敬慎院に到着。標高1200mを登り切りましたが、心臓に良く整備されていて登りやすかったため、疲れはあまり感じませんでした。
そして、すぐ脇にある展望スペースで休憩。非常によく晴れていて富士山が見えましたが、やや霞んでいました。

s-IMG_20180505_095155
  ↑遠くに富士山がかすんで見えます


山頂を目指す

展望スペースから七面山山頂までは40分と看板に書いてありました。
そこからはそれまでの霊山の雰囲気からはうってかわって、山の自然と触れ合うことになります。

私の普段の生活では見ない木が生い茂っていて、黄緑の糸のようなものが何本が束になって垂れ下がっていました(私は木や植物についてはあまり詳しくないため、何の木か分かりません)。書き方が何ですが、雰囲気はなかなか良いです(笑)

山というのは、それぞれの山にそれぞれ独特の雰囲気があります。人間の個性と同じようなもので、ちょっと不思議です。


10分ほど進むと、「大がれ」という山が崩れている場所に着きました。
s-IMG_20180505_100437


ここは鎌倉時代からすでに崩れていたそうですが、この崩落が今も進んでするのかはわかりません。もし進んでいないのなら、草木が茂ってきそうなので、崩れ続けているような気がします。

そこから休憩を入れて30分ほどで山頂に到着しました。
特筆するような景色はなく、山頂であることを示す看板と椅子などがあるばかりです。
この日は山頂で終わるつもりでしたが、たまたまそこで出会ったハイカーの女性と話をすると、その先に希望峰という絶景ポイントがあるのでおすすめとのこと 。そんなに遠くはないようなのでもう少し先まで進みました。

頂上から出発したので、当然「下り」になります。せっかく下りになったので、少し走ったりしながら目的地を目指しました。 山の中ですから当然アップダウンの繰り返し。上りは歩き、下りは走るという感じです。やがて少し険しい登りを経て、高い地点に出ると右手に大パノラマが開きました。ここが希望峰のようです。

s-IMG_20180505_104507


天気は快晴、眺めが最高。遠くの山々が見渡せます。
あの遠くに見える雪山の名前を私は知りませんが、きっと有名な山でしょう(山についても無知です)。
気分がいいのでここで食事。ビスケットやおにぎりを食べてから、来た道を戻りました。


奥の院

敬慎院まで戻りトイレを借りてF君と帰りのコースについて話し合いました。来た道を戻れば階段で楽に降りられますが、奥の院の裏手にある裏参道から帰るコースも魅力的です。頂上であった女性によると、裏参道を降りるとタクシー乗り場がありそこから表参道入口まで行けるとのこと。まあそれなら悪くないということで裏参道で降りることにしました。


裏参道の手前に「奥の院」があります。
s-IMG_20180505_115537

 ↑奥の院の前からはこんな絶景が

奥の院について調べてみると、「七面山奥之院」というwebサイトがありました。敬慎院とは別の独立したwebサイトで、奥の院でも宿泊できるとのこと。また、上の画像のしめ縄を張る様子が「七面山奥之院 ~参拝者のブログ」で紹介されています。


下山(裏参道)

さて、この奥之院でお参りを済ませて、いよいよ下まで下山です。上の画像の左側に奥の院があり、その脇にある看板には「北参道」の文字が。この北参道が裏参道のことです。

こちらの裏山道の方はあまり整備されておらず、大小の尖った石がゴロゴロとしています。なかなかの勾配で、走っているうちに膝に衝撃が加わりダメージが蓄積してきました。
とにかく石がゴロゴロしていて、ひっかけたら転んで大けがしそうなので集中力100%です。

トレランの醍醐味はやはりスピード感のある「下り」です。スキーやスノボと同じ感覚(やったことないですが・・・)ではないかと思います。
しかし、裏参道は普通に歩いて下りるだけでも、膝や足首にかなりの負担がかかります。かけ下りる場合にはかなりの注意が必要で、自分の体力や技術と相談です。
体力自慢のFくんは、脚も強いので、私を置いてさっさと下りてしまいました。私はと言えば、ケガはしたくないので、マイペースでいくことにし、少し早足で下りるという程度。しかし、たとえゆっくり目でも、標高1700mから1200mの標高差をかけ下りるため膝にかなりきます。
ときどき休憩を入れ、後ろを振り返りましたが、これを登っていくのは大変だろうなあと思いました。

1時間ほどで下山すると、登山口の入口にF君がつまらなそうに待っていました。

登山口はお寺の境内につながっていて、道路に出ると、朝通った見覚えのある場所。タクシー乗り場がありましたが、表参道入口まではそれほどの距離はなかった記憶があるので歩くことにしました。


歩いてみると車とは違いなかなかの距離。天気も良く日差しが降り注ぎ5月初めとはいえそこそこ暑い。登山を終えた体には、
約3kmの歩行はしんどいものがありました。まあ、それでも表参道の駐車場には無事たどり着くことができ、「ああ、今回も無事帰ってこれた」とホッとしつつ、近くの温泉へと向かったのでした。


まとめ


今回の七面山のトレランは、3つのパートに分かれていました。

①表参道の登り

②敬慎院から頂上経由の希望峰の往復

③裏参道(北参道)の下り

この3つのそれぞれのパートに特徴があって、それぞれを楽しむことができました。


七面山は非常によく整備されていて、頂上には宿泊施設もあります。子供さんや年配の方もたくさん登っていて、登山の経験があまりなくても、表参道を使えば比較的楽に登れると思います。
登山初心者の方でも、約2000mの山にチャレンジできます(寒い時期には雪が積もるようなので、その時期はもちろんを避けた方が良いです)。富士山の背後からのご来光を眺めるというのは、魅力的ですので機会があれば再び登ってみたい。


昨年登った身延山と、今年の七面山

この2つの山を走る「修行走」いうトレランレースについて考えると、私には完走は無理だと言うことがよくわかりました(笑)。

しかし、いつか諦めたいうわけではありません。今よりもトレランに慣れ、体力も3倍増しぐらいになった日には、挑戦してみたいと思っています。



↑このページのトップヘ