今年(2018年)のゴールデンウィークは、山梨県にある七面山(しちめんさん)にトレイルランニングに行ってきました。

初夏のこの時期はマラソンシーズンも終わり、気温も高くなってきます。寒い時のようにはガンガン走ることができず、山に行くことが増えてきます。

これが真夏になってしまうと、木々の影に覆われた山の中すらも暑い。草が生い茂り、虫もいっぱいになるため、トレランができる山も限られてきます。

そんなこんなで、まだ暑くなりすぎない大型連休を利用して、七面山に挑戦してきました!



七面山とは


七面山は山梨県の南巨摩郡にある山で、標高は1,989m。下の地図のとおり富士山のほぼ真東に位置します。

信仰の山として知られ、私が去年登った身延山の近くにあります。

七面山の由来については、身延山久遠寺のホームページに詳しい説明があります。



七面山地図


富士山の真東ということは、春分・秋分の日には富士山頂から日が昇る様子を観ることができます。
ダイヤモンド富士が見られるというので、この両日には多くの人が訪れるとのこと。
私も一度見てみたいものですが、ご来光を眺めるには夜明け前に登る必要があり・・・


今回この七面山を選んだのは、去年のゴールデンウィークに登った身延山の山頂から見えた七面山が印象的だったからです(昨年の記事→GWラン2017(その3)男ふたり。"天城越え"トレラン! )

また、この地で開催されるトレランのレース「修行走」では、身延山と七面山の両方を登ると聞くにおよび、二つの山がセットのように思えてたため一度登らないではいられなくなったというわけです。


登山コース

七面山登詣のしおり」によりますと、七面山を登るには二つの表と裏の二つの山道があるようです。今回は代表的な表参道の方から登ることにしました。

表参道には四つの坊があり途中で休憩が取れるそうで、これだけ整備されていればトイレなどの不安もありません。
登山口入口から50丁目、
山頂近くの標高約1700m地点にある敬慎院という七面大明神をまつる寺院があります。ここは宿泊もできるようですので、ご来光を眺めるために泊まってみるのも悪くなさそうです。

事前の調べでは、この50丁目付近に富士山を眺める絶景スポットがあり、頂上はもう少し先ですが展望がないとのこと。とりあえず今回は表参道から頂上を目指し同じ道をもどるピストンに設定しました。

スタート地点の登山道入り口の標高は約500m。山頂は約2000mですから、 単純に計算して1500m登ることになります。標高差1500mとなると、富士山を富士宮ルートの5合目から登るよりも大きな標高差になります。だからなんだと言われれば、この比較には特に意味がないのですが、なんとなくすごいと思いませんか?(笑)



いざ出発


今回は友人のF君と共にやってきました。彼は私よりもはるかに高い身体能力をもつ健脚のひとですが、マラソンには特に興味がないらしい。山を走ったり歩いたりするのが好きなようです。

到着時刻は7時。 7時半頃から登り始めました。
登山の時間としてはそれほど早いわけではないらしく、登り始めるとすぐに降りてくる人たちがいました。きっとご来光を見た人たちなのでしょう。


表参道登山道入り口にはわかりやすい看板が立っていて七面山の案内図があります。その入口から、登りやすい階段がつづき、これをひたすら登り頂上まで行きます。特に難所などがあるわけでもなくひたすら階段を上っていくそんな登山です。

この山のポイントは、途中で何妙法蓮華経と唱える修験者たちに出会うこと。去年身延山を登った時には修験者には会いませんでした。七面山と身延山では、登ることに対する意味合いが違うのでしょう。身延山はロープウェイもありますし・・・。
この修験者たちが大きな声でお経を唱えて歩く姿を見ると、ちょっと尊敬の気持ちがわきます。

この表参道には、4ヵ所の坊のほかに、長椅子などが各所に置かれています。簡単に休憩できるため、初心者にも非常に登りやすい山であると言えます。


ひたすら階段を登り敬慎院に

とにかく階段が延々と続きます。登っていると時々お経を唱える声が聞こえ、上から降りてくる人たちとすれ違います。毎週末こうなのかどうかはわかりませんが、一番大きな集団は100人ぐらいいたかと思います。
また下山してくる人たちの中では、小さな子供を連れた方や、年配の方も数多く見かけました。中でも驚いたのは、足が悪いのか杖をついて歩いている年配の女性で、その足で登ったのかどうかはわかりませんが、下まではあの足で歩いていくのでしょう。その頑張りに、少し勇気をいただきました。
さて、私の登山はと言いますと、階段を一定のペースで登り、喉が乾くと参道脇のベンチに座って少し休むという繰り返し。途中の坊には休憩をしている方がいらっしゃったのでそこに止まることはありませんでした。

やがて標高1700mの敬慎院に到着。標高1200mを登り切りましたが、心臓に良く整備されていて登りやすかったため、疲れはあまり感じませんでした。
そして、すぐ脇にある展望スペースで休憩。非常によく晴れていて富士山が見えましたが、やや霞んでいました。

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  ↑遠くに富士山がかすんで見えます


山頂を目指す

展望スペースから七面山山頂までは40分と看板に書いてありました。
そこからはそれまでの霊山の雰囲気からはうってかわって、山の自然と触れ合うことになります。

私の普段の生活では見ない木が生い茂っていて、黄緑の糸のようなものが何本が束になって垂れ下がっていました(私は木や植物についてはあまり詳しくないため、何の木か分かりません)。書き方が何ですが、雰囲気はなかなか良いです(笑)

山というのは、それぞれの山にそれぞれ独特の雰囲気があります。人間の個性と同じようなもので、ちょっと不思議です。


10分ほど進むと、「大がれ」という山が崩れている場所に着きました。
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ここは鎌倉時代からすでに崩れていたそうですが、この崩落が今も進んでするのかはわかりません。もし進んでいないのなら、草木が茂ってきそうなので、崩れ続けているような気がします。

そこから休憩を入れて30分ほどで山頂に到着しました。
特筆するような景色はなく、山頂であることを示す看板と椅子などがあるばかりです。
この日は山頂で終わるつもりでしたが、たまたまそこで出会ったハイカーの女性と話をすると、その先に希望峰という絶景ポイントがあるのでおすすめとのこと 。そんなに遠くはないようなのでもう少し先まで進みました。

頂上から出発したので、当然「下り」になります。せっかく下りになったので、少し走ったりしながら目的地を目指しました。 山の中ですから当然アップダウンの繰り返し。上りは歩き、下りは走るという感じです。やがて少し険しい登りを経て、高い地点に出ると右手に大パノラマが開きました。ここが希望峰のようです。

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天気は快晴、眺めが最高。遠くの山々が見渡せます。
あの遠くに見える雪山の名前を私は知りませんが、きっと有名な山でしょう(山についても無知です)。
気分がいいのでここで食事。ビスケットやおにぎりを食べてから、来た道を戻りました。


奥の院

敬慎院まで戻りトイレを借りてF君と帰りのコースについて話し合いました。来た道を戻れば階段で楽に降りられますが、奥の院の裏手にある裏参道から帰るコースも魅力的です。頂上であった女性によると、裏参道を降りるとタクシー乗り場がありそこから表参道入口まで行けるとのこと。まあそれなら悪くないということで裏参道で降りることにしました。


裏参道の手前に「奥の院」があります。
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 ↑奥の院の前からはこんな絶景が

奥の院について調べてみると、「七面山奥之院」というwebサイトがありました。敬慎院とは別の独立したwebサイトで、奥の院でも宿泊できるとのこと。また、上の画像のしめ縄を張る様子が「七面山奥之院 ~参拝者のブログ」で紹介されています。


下山(裏参道)

さて、この奥之院でお参りを済ませて、いよいよ下まで下山です。上の画像の左側に奥の院があり、その脇にある看板には「北参道」の文字が。この北参道が裏参道のことです。

こちらの裏山道の方はあまり整備されておらず、大小の尖った石がゴロゴロとしています。なかなかの勾配で、走っているうちに膝に衝撃が加わりダメージが蓄積してきました。
とにかく石がゴロゴロしていて、ひっかけたら転んで大けがしそうなので集中力100%です。

トレランの醍醐味はやはりスピード感のある「下り」です。スキーやスノボと同じ感覚(やったことないですが・・・)ではないかと思います。
しかし、裏参道は普通に歩いて下りるだけでも、膝や足首にかなりの負担がかかります。かけ下りる場合にはかなりの注意が必要で、自分の体力や技術と相談です。
体力自慢のFくんは、脚も強いので、私を置いてさっさと下りてしまいました。私はと言えば、ケガはしたくないので、マイペースでいくことにし、少し早足で下りるという程度。しかし、たとえゆっくり目でも、標高1700mから1200mの標高差をかけ下りるため膝にかなりきます。
ときどき休憩を入れ、後ろを振り返りましたが、これを登っていくのは大変だろうなあと思いました。

1時間ほどで下山すると、登山口の入口にF君がつまらなそうに待っていました。

登山口はお寺の境内につながっていて、道路に出ると、朝通った見覚えのある場所。タクシー乗り場がありましたが、表参道入口まではそれほどの距離はなかった記憶があるので歩くことにしました。


歩いてみると車とは違いなかなかの距離。天気も良く日差しが降り注ぎ5月初めとはいえそこそこ暑い。登山を終えた体には、
約3kmの歩行はしんどいものがありました。まあ、それでも表参道の駐車場には無事たどり着くことができ、「ああ、今回も無事帰ってこれた」とホッとしつつ、近くの温泉へと向かったのでした。


まとめ


今回の七面山のトレランは、3つのパートに分かれていました。

①表参道の登り

②敬慎院から頂上経由の希望峰の往復

③裏参道(北参道)の下り

この3つのそれぞれのパートに特徴があって、それぞれを楽しむことができました。


七面山は非常によく整備されていて、頂上には宿泊施設もあります。子供さんや年配の方もたくさん登っていて、登山の経験があまりなくても、表参道を使えば比較的楽に登れると思います。
登山初心者の方でも、約2000mの山にチャレンジできます(寒い時期には雪が積もるようなので、その時期はもちろんを避けた方が良いです)。富士山の背後からのご来光を眺めるというのは、魅力的ですので機会があれば再び登ってみたい。


昨年登った身延山と、今年の七面山

この2つの山を走る「修行走」いうトレランレースについて考えると、私には完走は無理だと言うことがよくわかりました(笑)。

しかし、いつか諦めたいうわけではありません。今よりもトレランに慣れ、体力も3倍増しぐらいになった日には、挑戦してみたいと思っています。