ここ数日、日本には寒波が押し寄せて、雪国だけではなく東京でも大変なことになっているようです。
インフルエンザも全国的に流行している様子。
前に風邪について書きましたが、ランナーの皆さんの調子はどんなものでしょうか?

私は、前回ご報告した横田基地の「フロストバイトロードレース2018」は、風邪も引かずに参加でき、無事完走することができました。
欠場したその前のレース「袋井マラソン2017」の反省を生かし、風邪対策を十分したことがよかったのではないかと思っています。

今回もまた風邪関連のトピックで、ランナーの免疫力について書てみたいと思います。


免疫とはなにか?

私たちはよく免疫力が落ちると病気にかかりやすいなどと言いますが、「免疫」とはいったいなんでしょうか?

人体にはまず、細菌やウイルスなどの病原体が体内に侵入するのを防ぐ防御壁である皮膚や粘膜があります。
この防御壁を乗り超えてきた病原体を、体内で攻撃するのが「免疫」で、「自然免疫」と「獲得免疫」があります。


●自然免疫
自然免疫は人体に生まれつき備わっている免疫です。病原体が入ってくると「白血球(NK細胞など)」が反応し、どんな病原体でも相手を選ばず攻撃します。
これが免疫の第一段階みたいなもので、とりあえず侵入してきた異物は取り除くといったものでしょうか。

●獲得免疫
自然免疫をすり抜けてきた病原体に対する免疫で、こちらが第二段階。
抗体」や「白血球の一種のT細胞」などが働きます。ひとつの抗体は、ある病原体に一度感染することで体の中につくられ、その病原体のみを攻撃します。
同じウイルスや細菌による風邪ならもう一度かかることはなくなる、というような身体の反応ですね。


免疫力が弱くなるというのは、何らかの原因により、これらの身体のシステムがうまく働かなくなるということでしょう。


免疫ができても何度も風邪をひくのはなぜ?

風邪を引いたら抵抗力ができて、もう一度同じウイルスによる風邪は引かない。
だとしたら、ひと冬に何度も風邪を引いたりするのは、たくさんの種類のウイルス(または細菌)がいることになりそうです。
実際にその数は多く、ウイルスの種類は、ライノ、インフルエンザ、コロナ、アデノなどがあって、さらに各ウイルスに数多くの種類があるといいます。(風邪の代表格のライノウイルスは数百種類あるそうてす:<参考>横浜市衛生研究所
ウイルスや細菌も必死ですから、変異して強くなったりします。人体の免疫力とウイルスの戦いは終わることはないようです。


運動と免疫

では、運動と免疫力の関係はどうなっているのでしょうか?
運動と風邪の関係についてですが、軽い運動は風邪にかかりにくくし、激しい運動はかかりやすくしてしまうようです。

運動と風邪のひき易さには関係があることが科学的に証明されています。まったく運動をしない状態に比べて、「ほどほどの運動」をすると風邪をひきにくくなります。「風邪をひかないように体を鍛えよう」というのは本当なのです。ところが、さらに運動の量や強度を増やしていくと、逆に風邪をひき易くなって、結局、運動をしない状態よりもかえって風邪をひき易くなってしまいます。
適度な運動は免疫力を高めるというのはよく言われますから、これについては予想通りです。
毎日30分歩いたりするのは、やはり健康によいそうです。


ランナーの免疫力

さて、ここからがマラソンランナーの問題になります。
フルマラソンをした後には、免疫力はどうなるのか?

激しいトレーニングをしているアスリートは、普通の人よりカゼなどの感染症にかかる頻度が数倍も高いことがわかっている。例えばフルマラソンをすると、競技終了から2週間以内に選手の5~7割にカゼの症状が出るという報告もあるほど。これは過酷な運動によって免疫力が低下するのが原因

まあ、フルマラソンは激しい運動だと思いますから、免疫力が下がって当然ですね。
しかし、「フルマラソン後2週間以内に、選手の5~7割にカゼの症状が出る」というのはすごい結果です。本当でしょうか?衝撃です(笑)

実際のところ、私がこのまえに風邪を引いたときは、ケガをして運動不足だったのに無理して30km走などをやった後です。私自身、「免疫力落ち」を身をもって証明しました。


激しい運動と免疫力の関係

では、なぜ激しい運動をすると免疫力が落ちるのでしょうか?

激しい運動をすると筋肉が損傷し、それを修復しようとして免疫細胞が働く。この結果、腫れや痛みといった炎症が起こる。だが、日常的に過酷なトレーニングを続けていると、体はなるべく炎症を起こさないように免疫反応を抑えるようになる。こうして、感染症に弱い状態が生じる(「意外に知られていない運動と免疫の関係」日経ウーマンオンライン)

この部分がポイントで激しい運動を何度もすると、筋肉痛や関節痛は日常茶飯事になります。そうすると、炎症がよく起こるものだから、身体が「かなわんなあ」と免疫力を落として炎症が起こりにくくする、というわけです。
人体の神秘というか、すごい仕組みです。


マラソン練習は疲れたら休め!

全然走ったりしない人にとって、30km走は激しい運動でしょうから、ふつうに免疫力が落ちると思います。
しかし、何年もマラソンを続けてよく走るランナーは、長距離を走ることに身体が慣れていて、30km走1本くらいでは風邪は引きません(と、思いたい、笑)。ロング走もやり過ぎないほどほどのところで行うと身体が慣れてきますから、免疫力が上がるのでしょう(たぶん)。

本命レースが近づいてくると、本番で良い結果を出すために、今のように寒波が押し寄せていても、鼻水垂らしながら必死でロング走をしてしまうものです。走らないと体重も増えてしまいます(これが大きな悩み)。
風邪が怖くて激しい運動ができるかっ!」という気持ちもやっぱり必要だと思います。
少しずつ強い負荷をかけていかないと自己ベスト更新はなりません。

そうなると、自分の身体と相談しながら、激しい運動を適度にしていくしかありません
もし疲れを感じたら、無理せずに休みましょう
無理をして風邪を引いたら、その回復には通常の体力回復よりも時間がかかります。

これから本命レースが待っているランナーもたくさんいることでしょう。
栄養と休養に気を使いながら、手洗いを忘れずにトレーニングに励みましょう!