なぜ走る? 文化系レベルランニング

東京マラソン2010にたまたま当選してしまった「読書が趣味」の文化系人間。 それ以来、50歳を過ぎた今も、なぜか走り続けています。 走ることにどんな意味があるのか? 「からだ」「こころ」「グッズ」「レース」「本」などから、走ることについて考える、ランニングブログです。

2018年09月


後脚(軸足)が着いていると安定

もう少し考えてみます。
もし階段をゆっくりと降りるとしたら、前脚が下の段についたときに、後脚が上の段に残っていて浮いていません。段差をゆっくり降りると安全なのは、両脚がついて安定するからでしょう。

一方、トレランではふつう、山を走って降ります。着地の時は後脚が浮いている状態がほとんど。だから安定感がなく、危険が大きい。

山を走り降りれば、後脚は地面から離れるもの。でも、その時間をなるべく短くすることはできます。
もしスピードが上がったとしても、後脚が浮いた状態をなるべく少なくできれば、より安全に降りられるのではないか?


残った後脚の太ももの位置

段差を降りるためには、体全体の位置が下がる必要があります。前脚が下の段に着くとき、腰の位置も下がる。
後脚の太ももを前に出すと、腰も一緒に下がりますが、上体は前にかがみ、しゃがむ姿勢になります。しかし、いくら安全重視も度が過ぎるのは考えもので、一歩ごとにしゃがんでいては疲れてしまいます。後脚の太ももを股関節よりも前に出してしまうと、腰が引けてしまうのでうまく走れないのです。軽快に降りるためには、なるべく太ももを前に出さないようにして段差を降りる必要があります。

腰が引けないようにするには、私の経験上、太ももを股関節よりも後ろに持っていくのが理想です。
しかし、前回も書きましたが、走っているときに後脚の太ももを後ろに動かしても、その感覚はわかりにくい。
「後脚の太ももを股関節よりも後ろ」という動きは、実際には、股関節より前に出そうな太ももを出さないようにこらえるイメージです。
実際には、後脚は前脚に変わるので、段差を降りる動作のどこかで前に動くはずですが、身体が下がり始めるときには前に出さない。前脚は真下に降ろすようにする。こうすると、お尻が引けずに身体を真っ直ぐにして、段差を降りられます。


太ももを前に出さずに膝とつま先を使う

太ももを前に出さないで、腰の位置を下げるにはどうすればようでしょうか?
しゃがまずに体幹部を真っ直ぐの状態で腰を落とすには、膝を曲げるしかない
太ももを前に動かさないようにこらえて、膝を曲げれば腰の位置を下がることになります。
上体は真っ直ぐなまま前に出て、膝が曲がった分だけ下に下がります。この時には、後脚はまだ上段を離れていません

ここで気づくことがあります。
それは、股関節を曲げずに膝を曲げると、すねが前に倒れて、かかとが浮くことです。
しゃがむときはかかとが地面に着いている方が楽ですが、股関節を曲げずに腰を落としていくと、かかとが必ず浮いてきます。この時体重がつま先側にかかって足指を使うことになります。これは一連の動作でそのようになるので、自然につま先を使うようになるのです。


実際にこれで降りてみると

実際にこれで山を降りてみて気づいたことを書いてみます。

1.前脚も自然とつま先着地になります
つまりフォアフットですね。良い点は、前脚のつま先が伸びる分だけ下の段への距離が短くなり、かかとで着地するより早く足を地面に着けられることです。

2.滞空時間が長いように感じます
後脚が上の段に残っていても、膝が前に倒れる分だけ体幹部が前方に出ています。この時、体幹部は上段よりも前、つまり空中にあります。これが滞空時間が長く感じる原因ですが、最初のうちは怖いです。でも、すぐに慣れます。

3.股関節つけ根の前側が伸びる感じがします
股関節が硬いひとは、太ももが前に出て腰が引けやすい。身体を前に進める時に、太ももが前に出ないようにこらえると、太ももつけ根が延びる感じがします。ストレッチをして股関節の可動域が広がると、股関節が伸びたことがより感じられます。

4.太ももがそんなに疲れません
腰が引けずに走れるため、太ももで踏ん張る力が少なくて済みます。また、ある程度のスピードが維持できます。

5.心にすこしだけ余裕が生まれます
腰が引ける走りよりも身体への負担が少ないので、私はその分だけ気持ちに余裕が生まれました。
ただし、これも慣れの部分が大きそうです。身体の使い方は、実際に山を走って慣れることが大事ではないかと思います。


まとめ

今回、股関節の柔軟性と山下りの身体の動き、そしてその心理的な部分について自分なりに考えてみました。
後脚の股関節から太ももを前になるべく動かさないようにする。身体の動きについては、このことが大切で、身体の動きの負担が軽くなると、心にも余裕が出るようになったようになりました。結局、身体が安定が心の安定につながり、山下りの恐怖が薄らいだようです。

私はふだん椅子に座っていることが多く、両方の太ももが股関節から前に曲がっている状態が普通になってます。歩くときも座ったままのような腰のかたちで、太ももが前に曲がりがちでした。今思えば、そんな状態で山をかけ降りることが、不安を大きくさせる原因だったのではないかと思います。
しかし、身体の使い方をすこし変えるだけで脚が楽になり、精神的にも余裕が出ました。そして、山を下るスピード感が、恐怖から楽しさに変わりました。

山下りが苦手な男性ランナーには、後脚の太ももを前に出さないぜひ試してみてほしいです。
まずはご自宅近くの公園などで小さな段差を見つけて、練習してみるのがよいかもしれません。私のように身体が硬い方は、ストレッチをして柔軟性を高めることをお勧めします。私はストレッチをして股関節の柔軟性をつけてからは、太ももを前に出さずにこらえられるようになりました。

猛暑が終わりだいぶ涼しくなってきました。そろそろまたトレランに出かけようかと思っています。



股関節は実際どう使う?

そんなこんなで、ストレッチに励んで股関節を柔らかくしつつ、いよいよトレランで実戦訓練開始。
山に走りに行ったときには、股関節を意識して山を降りるように気をつけました。

問題は、股関節をどう使うかということです。せっかくある程度開くようにしたので、この開きを使わない手はありません。

しかし、開くといっても、「前後の縦方向」と「左右の横方向」があります。
まあ、普通に考えてみると、わざわざ股を左右に広げて坂をかけ降りるのはアホみたいです。ここは直感的に判断して、股関節は前後に開いて使うことを意識しました。


前脚と後脚

ところで、股を大きく前後に広げて走ると、歩幅が大きくなります。下り坂で歩幅を大きくすると、スピードが出て危険です。
もちろん股関節を柔らかくしたは速くかけ降りるためだったのですが、歩幅を大きくしてガンガンかけ降りるのは、自分のイメージとはちょっと違います。

そこで考えました。
脚を前後に開く場合、前脚を前に、後脚を後ろに、と両方の脚を動かしてしまうと、歩幅が大きくなりすぎてしまいます。なので、前脚か後脚どちらか一方の足だけを意識して開くことにしました。


後脚を意識する

まず、「前脚を大きく出し後脚はそのまま」という方法。前脚だけ開くということは、太ももを持ち上げることになります。下り坂で太ももを持ち上げるということは、ちょっとおかしなことになるのは、やる前から薄々気づいていましたが、その通りでした。
前脚を持ち上げて段差を降りると、身体全体を前に倒さないと段差を降りることができません。実際にやってみたところ、怖くてノケゾリました。
恐怖心を克服するどころか、さらに恐怖心が増してしまいます。

次に、「後脚の太ももを股関節から後ろに動かし、前脚はそのまま」という方法を試しました。残った後ろ脚の股関節を開くのです(お尻を持ち上げるイメージ)。この時に、前脚の股関節はあまり動かさない。
残った後脚は軸足ですので、実際には後ろに移動するわけではありません。骨盤に対して後ろ向きに動くというか、軸足がわずかに残る感じになります。
段差を降りる時は、膝が大きく動くので、動きの小さい股関節を感じることが難しいです。でも、意識すると何となく違いがわかります。

後脚の股関節は、感じられる動きがその程度だったので、見た目には劇的な変化はありませんでした。
しかし、そんな小さな感覚の変化でも、大きな効果がありました。
それは、のけぞらずに山を降りられるようになったということです。


後脚(軸足)の股関節の動き

では、何でのけぞらずに降りられるようになったのかを考えてみます。
大きな段差をゆっくりと降りるとしましょう。
この時に後脚(軸足)の股関節が前に動くと、しゃがむような姿勢になって、腰が引けてしまいます。そして、しゃがむ動作を何度も行うと、太ももの前側がすぐに疲労してしまいます。私がトレランで、いつも太もも痛に悩まされていたのはこれが原因と思われます。

腰が引けると上体が前に傾いて、段差が前にあれば、突っ込むような態勢になります。昔の私のノケゾリ走法は、この前のめりに傾いた重心を、後ろに引き戻した結果だったのです。
逆に、後脚の股関節を後ろに動かせば、腰が引けることはありません。腰が引けるとき、必ず後脚の太ももが股関節より前にきているのです。

太ももが前に出ると腰が引けるので、太ももが前に行かないことが大切です。
ストレッチで股関節を柔らかくする前は、私の太ももは前に行きがちでした。恐らく、太ももが股関節より前にある状態で固まっていたのでしょう。


ガニ股は腰が引けがち

少し余談となりますが、この腰が引ける現象を考えていて、思い当たったのが、段差を降りる時の股関節の横への動きです。
大きな段差をゆっくりと降りる時、太ももが股関節より前に動く(腰が引ける)とガニ股になりがちです。段差に対して、軸足を横に向ければ足の裏全体が地に着き安定し、大きな段差を降りやすいからです。

ということで、ガニ股もまた、腰が引ける要因のひとつではないかと思ったので、ここに書いておきました。



つづく

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