なぜ走る? 文化系レベルランニング

東京マラソン2010にたまたま当選してしまった「読書が趣味」の文化系人間。 それ以来、50歳を過ぎた今も、なぜか走り続けています。 走ることにどんな意味があるのか? 「からだ」「こころ」「グッズ」「レース」「本」などから、走ることについて考える、ランニングブログです。

2017年05月




本書『EAT&RUN 100マイルを走る僕の旅』の著者スコット・ジュレク氏は、以前このブログでちょっとだけ紹介した『BORN TO RUN 走るために生まれた』(クリストファー・ マクドゥーガル著)にも登場するウルトラマラソン界のトップランナーです。

私はウルトラマラソン(42.195km以上のレース)は走ったことがありませんので、100kmを超えるようなレースで優勝するランナーの精神と肉体については想像もつきませんでした。
しかし、この本を読んで「なるほど」と思いました。
やはり文化系の私とはモノが違います。
捻挫した足で優勝してまうのです。痛みなどこらえるのは当たり前です。
とても真似できません。


スコット・ジュレクという人

才能あふれる人間がいかにしてトップランナーになるのかが、この本を読めばよくわかります。
どんなに才能に恵まれた肉体を持っていても、環境が整わなければその道に進むことすらできません。

著者の父親は厳格で、家では厳しいしつけをします。その半面、森に子供を連れていき狩猟を教えるなど、アウトドア生活の基本と楽しさを学ぶ機会を著者に与えるなど良き父としても振舞いました。一方、母親は病気のため、著者は子供のころから家事全般を手伝うことになります。母のサポートを通して忍耐力を身につけるとともに、人間の身体や心についての理解を深めていきます。

ジュレク氏は、高校でクロスカントリースキー選手となり、持久力を鍛えるためにランニングを始めます。このときに、大親友と出会い、ともにトレーニングに励んだことでランニングの才能が目覚めます。やがて、ウルトラマラソンに出場し、その後も結果を出し続けることでキャリアを積みあげ、世界有数のウルトラランナーとなりました。

著者はこれまで参加したレースを振り返るとともに、家族との関係、友人や恋人との出会いなども語ります。才能が開花するには、人との出会いや環境も大切ということでしょう。


様々なレース

この本のメインテーマであるウルトラマラソンに関しては、描かれるレースはどれも過酷で、著者はこれでもかというほど身体を痛めつけられます。レースでランナーを襲うアクシデント、痛みや苦しみの描写からは、第一線のウルトラランナーの精神性を垣間見ることができます。そして、こうした困難を乗り越えていく過程こそが重要である、と私たちに思い出させてくれます。

私は知りませんでしたが、ウルトラマラソンでは長いレースになると夜も走るためヘッドライトをつけることがあるようです。この時に、ライバルに自分の存在を知られないようにするため、ライトを消して走ることもあるとのこと。ウルトラマラソンは奥が深い。戦術が多彩過ぎる(笑)。

また、ウルトラマラソンでは嘔吐などは当たり前。フルマラソンで胃腸がやられる自分としては、屈強なランナーでも嘔吐することがわかり少し安心させられました。

メキシコのタラウマラ族の走りを描く『BORN TO RUN 走るために生まれた』にもジュレク氏は登場します。ジュレク氏は『BORN TO RUN』では脇役でしたが、自身の著書である『EAT & RUN』では自分の視点から、同じレースについて語っています。登場人物たちを違う視点から捉えるているので興味深く、ウルトラマラソン界の第一人者であってもタラウマラ族の走りをリスペクトしている部分はとても気持ちよく感じました。『BORN TO RUN』が好きなひとは、この『EAT & RUN』も面白いこと間違いありません。 


食事について

ジュレク氏は、母親が病気のために、家事を手伝う必要がありました。料理をすることも彼にとっては当たり前のことだったからで、料理をすれば食品にも詳しくなります。
また、母親のリハビリをしていた理学療法士と出会ったことで、彼自身も後に理学療法士の道を選びます。職業上不可欠な人体の知識はもちろん、レースに必要な栄養の知識も同時に身に付けていったようです。
そして、レースを重ねて経験を積み、もっとも速く走るための食事を考えるように至ったときに、彼は完全菜食主義者(ヴィーガン)になります。
ジュレクさんの菜食主義は、自分の身体とレース経験によって選ばれたもので、動物虐待反対といったイデオロギー的なものとは関係ありません。ウルトラマラソンという極限のレースを少しでも速く走るために、完全菜食主義を選んだのです。この菜食主義については、石川弘樹さんが巻末の解説で効果があると書いていますが、問題もあるようです(ジュレクさんと親交のあった石川さんの解説だけでも読みごたえがあります)。

本書はまた、ジュレク氏おすすめの長距離ランナー用のベジタリアン料理レシピも多数紹介。「アップルシナモン・グラノーラ」「スターバースト抗炎症スムージー」「チョコレート・あずきバー」など一度試してみたいものがたくさん。ふだん何を食べるべきか迷っているランナーにも役立つ情報が多数掲載されています。


EAT&RUNコラム

本書の章の間に、1ページ程度の短い14のコラムが載っています。このコラムは、ランニングにおける呼吸法、体幹、着地やストレッチなどについて説明。ランナーにとって基本的なものについては、外国人のウルトラランナーの視点から書かれていて、日本人のマラソントレーナーが書いたものとは少し違った印象を受けます。理想のストライドや着地については、知らなかったことがあり役に立ちました。
また、完全菜食主義者としての視点で書かれたカロリーやたんぱく質の取り方は普段の食事について考える上でも参考になります。


走りから得た哲学

この本のまとめにあたるエピローグでは、著者の哲学と思想が、2010年の24時間レースの模様とともに詩的情緒の中で描かれています。

「誰だって負けることがある」という誰もが認める真実に対して、著者はこう言います。
負けることが生き方を決めるんじゃない。負けたあとに何をするか、つまり負け方が大切だ
そして、レースについて。
人生はレースじゃない。ウルトラマラソンだってレースじゃない。そう見えるかもしれないけれど、そうじゃない。ゴールラインはない。目標に向かって努力をして、それを達成するのは大切だけれど、一番大事なことではない。大事なのは、どうやってそのゴールに向かうかだ。決定的に重要なのは今の一歩、今あなたが踏み出した一歩だ。


●『EAT&RUN 100マイルを走る僕の旅』(スコット・ジュレク著)
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ランナーが身につける最低限のものは、シューズ、短パン、シャツ。
これ以外で身につけるものと言えば、帽子、グローブ、サングラス、タイツ、ゲーター、アームウォーマーくらいが一般的です。

今回、紹介するのはベルトです。

PhitenBelt

ファイテン・スポーツベルト (写真は85cm)


なぜベルトなのか?

ベルトといっても、このベルトは、ゴムが緩い短パンが落ちないようにするためのものではありません。スポーツ用で、身体のパフォーマンスに関係します。

スポーツでベルトというと重量挙げが思いつきますが、重量挙げやウェイトトレーニングでベルトを巻くのは、体幹部を安定させて腰を痛めないようにするためだそうです。

人間の腰(肋骨下から骨盤まで)は、そもそも不安定で腹筋や背筋でバランスをとって支えているのですが、現代の生活ではだら~っと椅子にもたれている場面が多くて、腰も弱っている人が多いようです。

ランニングでは腰が弱いと、走るときに骨盤が後傾して腰が低くなり、ブレーキがかかってしまうことがあります。特にフルマラソンの終盤では、疲労のために腰が落ちてきます。

ランニングでは、腰の位置を高く保つことが安定した走りにつながりますが、この腰の安定を保つのに役立つのが、このファイテンのスポーツベルトなのです。


ベルトの構造

この商品の説明では、ベルトの生地には「アクアチタン」が染み込んでいるそうです。
ベルトの中には「ミクロチタンボール」が埋め込まれています。PhitenBelt_01

↑イボイボがミクロチタンボールです。

ファイテンといえば「チタン」です。チタンには生体電流を整える作用があるそうで、それが人体の運動のパフォーマンスを上げるということのようですが、そんな理屈よりは、チタンの効果については実際に使ってみた方が効果が実感できると思います。近くにショップがあれば、商品を試してみるのがよいでしょう。

ちなみに、ベルトはマジックテープ式です。下の写真の、下側の先端にマジックテープがついています。

PhitenBelt_02



身に着けて走ってみた

ゴールデンウィーク中に、3回ほど外を走ったことをお伝えしましたが(「GWラン2017」その1その2その3)、実はこの時、密かにこのベルトをつけて走ったのです!

まず、浜名湖を一周したときの効果ですが、56kmという長い距離を走っても腰痛にはなりませんでした。私はフルマラソンを走ると腰が痛くなることがあります。GW中の浜名湖一周では、56km走っても腰に異常が起きなかったのは、このベルトのおかげだと思っています。(脚は痛みましたが・・・)

続く、身延山と天城山のトレランでは、下りで走ったときに体幹が安定していた気がします。私は下りを走るのが下手なので、山を下るときに走りが安定しないのですが、この2度のトレランではコースの特徴もあると思いますが、あまり苦にせずおりることができました。

ただし、チタンの効果は微妙ですので、完全にはっきりとした違いがあるとは言い切れません。身に着けていることによる心理的な影響もありそうですので、その辺りもことも含めて効果が感じられるということです。

まとめ

このベルトの値段は 4,536円(税込み)。ランニングの必須アイテムではないので、安い買い物ではありません。しかし、腰に不安がある人や、体幹を安定させたいと思っているひとには、実際の効果の他に心理的な効果もあると思います。
私はこのベルトの購入の際には、かなり迷いました。購入の決め手は、今年(2017)の箱根駅伝、下りの第6区で、日体大の秋山清仁選手がこのベルトを着けて2年連続区間新記録を達成したことでした。
やはり、速い選手が身に着けているものは試してみたい。皆さんはどう考えますか?


※詳しくはファイテンのサイトをご覧ください。
ファイテン・スポーツベルト 




ランニング競技に「リレーマラソン」というものがあります。

リレーマラソンは、フルマラソンの距離42.195kmを、何人かで襷(たすき)をつないで走るのが一般的です。
私の地元でも来週開催される予定で、1周3kmのコースをチームのメンバーが交代で走ります。


3kmってどう走る?

ところで、この3kmという距離は、私は慣れていないため、どのくらいのタイムで走ればよいのかよくわかりません。

ふだん出場するロードのレースは、フルマラソンかハーフマラソンだけですから、距離が短くなるとどのくらいのペースがよいのかわからないのです。

過去にリレーマラソンに参加したことは何度もありますが、これまでは仲間で和気あいあいと楽しく走るのが目的で、タイムを狙うようなことはしたことがありませんでした。
しかし今回は、3kmをどのくらいで走れるのか知りたくなったのです。


目標タイムとペース

私が1kmのインターバル走するときは、ペースはキロ4分で走ります。
途中のインターバルなしで、キロ4分ペースで3km走り続けられるかというと、できるかどうかよくわかりません。もっと早く走れそうでもありますし、途中でバテてしまうような気もします。

そこで、偉大なランナーを参考にして、私の目標タイムを考えてみました。


●3000m日本記録(男女)

男子の3000m日本記録を持つのは、大迫傑さんで、タイムは7分40秒09。大迫さんは今年のボストンマラソンを走って3位に入賞した日本期待のランナーです。
一方、女子の3000m日本記録保持者は、福士加代子さんで、タイムは8分44秒40。福士さんは、2016年のリオデジャネイロ五輪に出場しました。

この日本を代表する二人のランナーの日本記録は、もちろんそのまま私の目標になるはずはありません。私は、7分40秒では2kmでさえ走れる自信ががないですし、8分44秒でも2kmを少し過ぎた程度ではないでしょうか。

●3000m記録保持者のマラソンタイムは?

お二人マラソンのベストタイムを調べてみたところ、こうなります。

大迫さん:2時間10分28秒 (3000mは、7分40秒09)
福士さん:2時間22分17秒 (3000mは、8分44秒40)

早いです!すごいです!
しかし感心している場合ではありません。

ここで、3000mのタイムが、フルマラソンのタイムの何パーセントに当たるか計算してみました。

大迫さん:7.6 / 130.5 = 約5.8%
福士さん:8.75 / 142.3 = 約6.1%

だいたい6%くらいです。


●私の3000mの目標タイム

この二人の日本記録保持者の3000mとフルマラソンのベストタイムの比率を、私のフルマラソンのベストタイムに適用してみます。

私の42.195km自己ベスト:約3時間20分(200分 )

200分 × 0.06 = 12分

ということで、日本最高の3000mのランナーのフルマラソンのベストタイムを参考にして計算してみると、私はリレーマラソン1周3kmを12分で走れるのではないかと推測されます。

男子の大迫さんは5.8%なのでこれをそのまま適用すると、次のようになります。

200分 × 0.058 = 11分36秒(11.6分)

1kmあたり3分52秒のペースです!

3kmを11分36秒で走るのは、ちょっと厳しい気がします。


●私のリレーマラソンの目標タイム

熟考の末、こうなりました。

11分59秒

3kmを12分よりも1秒でも早く走る。

これを目標に頑張ります。


ゴールデンウィークの3回目は、静岡県の伊豆半島の天城山に行ってきました。


天城と言えば

天城ときけば、あの石川さゆりさんの名曲『天城越え』が思い出されます。

この『天城越え』。あの大リーグのイチロー選手が一時期、打席への登場曲として使用していたようです。イチロー選手、やはり大物です。
また、この曲を作曲した吉岡治さんは、なんとキャプテン翼の主題歌『燃えてヒーロー』(歌:沖田浩之)を作詞したそうで、守備範囲の広さに驚きです。

そして、この曲の歌詞がとにかくすごい!
こちらです↓

"隠しきれない 移り香が
いつしかあなたに しみついた
誰かに盗られるくらいなら
あなたを殺していいですか
寝乱れて隠れ宿
九十九(つづら)折り
浄蓮(じょうれん)の滝

舞い上がり 揺れ墜ちる
肩の向こうに あなた・・・山が燃える
何があってももういいの
くらくら燃える火をくぐり
あなたと越えたい 天城越え"
(以下略)

これが多くの日本人にとっての天城山のイメージです(本当か?)。
なんというか、女の情念にあふれていますね。
こんな恐ろしげなところに行って良いのか、少し迷いましたが、
ゴールデンウィークですし、大丈夫だと考え友人と二人走ってきました。
もちろん、歌のイメージとはまったく無関係の情念無しのふつうのトレランです。

前置きが長くなりましたが、トレランの様子に入ります。


男二人で、天城越え~

何をもって「天城越え」というのか、私は実はよくわかりません。
今回は、とにかく天城山を登って超えて、反対側に降りたので天城越えでよいのかなあ、と思っています。

●コース

伊豆市観光協会天城支部さんが運営するサイト「天城温泉郷観光ガイド」で
天城のハイキングコースが紹介されています。
今回走ったのは、「天城縦走コース」で、地図はこちら↓になります。


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サイトによれば、コースは17kmで所要時間は約7時間30分。

旧天城トンネル→天城峠→八丁池→白田峠→戸塚峠→小岳→
片瀬峠→万三郎岳→馬の背→万二郎岳→四辻→天城高原登山口


私たちはコースを反対に回り、「万二郎→岳馬」はカットして、四辻から万三郎岳に向かいました。

今回のコースはこうなります。

天城高原ゴルフ場→天城高原登山口→四辻→万三郎岳→片瀬峠→小岳→
戸塚峠→白田峠→八丁池→天城峠→旧天城トンネル→天城峠バス停


天気は曇り、9:30スタート

ランニングは何人もいると走力に差が出ますが、今回は友人と二人。彼は私とほぼ同じくらいの走力なので、自分のペースで気楽に行けました。

GWの連休に、男二人で「山が燃える」と歌われるあの天城山を走るのもなんですが、
とりあえず、自然に触れるのは悪くない。
気温はやや低く約10℃。この山ではこの時期これが普通でしょうか?走るには最適です。

登山口から四辻までは、緩めに登っていきます。
岩などが多く、あまり走ることはできませんでした。

四辻で少し給水し、万三郎岳を目指しました。
天城山は日本百名山の一つに数えられるだけあって、静かで落ち着いた雰囲気。
しかし、時どき大きめの岩がありすんなりとは通れない場所もけっこうあります。
登りがきつく走れる場所の方が少ないです。

●キツツキ発見

途中、登山客の方がキツツキがいることを教えてくれて、生まれて初めてキツツキを見ることができました。
キツツキは横縞模様で、気の中にいる虫などを食べているとのこと。
時々、「ブーーン」という振動音が聴こえていたのですが、それがキツツキがスゴイ速さで樹をつついているということがわかり感動しました。


540段の階段、そして万三郎岳

そして、この万三郎岳までコースのクライマックスが540段の丸太の階段です。
ひたすら、ひたすら登って行きます。疲れます。途中3度ほど止まって給水しました。
上をみると雲がかかっていて、登るほど霧がかかってきます。
そして、ようやく登り終えて万三郎岳到着、時間は11:40くらいだったと思います。

万三郎岳には登山客がたくさんいて、みなさん休憩や記念撮影。あいにくがかかっていて、景色はまったくみえませんでした。
お湯を沸かしている方も何人かいて、登山で大きなバックパックで来れば、カップラーメンも食べられるのだなあ、ととてもうらやましく思いました。
トレランは、走るためどうしても最小限の携行食になります。


下り、八丁池から天城峠へ

万三郎岳からは下っていきます。
下りは身体が楽ですが、足元に大きな石が多い場所があり気が抜けません。
途中、桜と思われる花が咲いていましたが、ソメイヨシノではありません。気温が低いために、この時期に咲いていたのでしょうか。

八丁池に近づいてきたとき、足元に大きな岩が増えてきました。
気をつけて走っていると、頭上の倒木に気づかず頭をぶつけ転びました。この山には何か所か、顔の辺りに倒木や木の枝があるので注意が必要です。

八丁池では少し休憩。霧が水面に立ち込めて幻想的な雰囲気がありました。
付近トイレがあり、ここに寄ってから出発。

残りの道はなだらかで走りやすく、軽快に降りていけました。
途中、一度、道に迷いそうになりましたが、すぐに引き返して正しいルーうトに戻ることができました。

最後はわさび田が見えて、「伊豆にきたのだなあ」と実感し、今回のトレランを終えました。
天城峠到着は15時近く。 

天城山は、あまりトレラン向きではないコースでした。
じっくりと歩いて自然を味わうのが良いかもしれません。


GWランのまとめ

今年のコールデンウィークは、浜名湖、身延山、天城山と、3回ほど観光地を走りました。
ふだんはやらないことができるのが、大型連休の魅力です。
また、GWは夏休み、冬休みとは違い、気温がどちらかに偏っていません。
暑くもなく寒くもなくというマイルドさが、どこに行っても心地よいです。
特にトレランは、新緑の明るい緑が美しく、成長する生命の躍動感を感じました。

次の休みは夏休みですが、走るのに一番適さない時季です。
どうしようか思案しています・・・


●前回記事
GWラン2017(その2)身延山トレランは修行のごとく

ゴールデンウィークの2回目は、山梨県にある身延山(みのぶさん)に行ってきました。

身延山といえば、日蓮宗総本山身延山久遠寺があります。久遠寺は日蓮上人が晩年を過ごしたお寺で、多くの参拝者が訪れる観光地として有名です。

本堂境内から身延山の山頂までは、体力に自信がない方もロープウェイで登ることができ、仁王門がまもる「奥の院・思親閣」をお参りして、山頂からの眺めを楽しむことができます。


身延山を登る

この日は、身延山の入口の「総門」に仲間2人とともに9時頃に到着。9時半頃に、もう少し先の「三門」をスタートしました。地図は観光地でロープウェイまである山なので、スマホにダウンロードした簡単な地図だけ。

三門の先には、まずは長く急な階段「菩提梯」がいきなり出迎えてくれます。
身延山階段

本堂へとつづく287段の石段を登り切れば涅槃(ねはん)に達するそうです。
「南無妙法蓮華経」の7字にあわせて階段は7つにわかれて、7回ほど落ち着いて休むことができます。この写真の印象よりも、登るのは大変でした。

そして久遠寺の境内に到着。
久遠寺境内

開始15分で、もはややり切った感じがしました。
「ああ、気持ちいい」これが涅槃かもしれません。

が、「さあ、帰ろう」というわけにはいきません。ここからが本格登山。
写真の本堂裏手にロープウェイ乗り場があり、その脇が登山道入口。
石段を登った時点で「ある境地」に達したので、ロープウェイに乗ろうかと思いましたが、自分の普段の怠惰な生活を戒めるためにも、やはり自分の脚で頂上を目指すことにしました。


●登りはなかなかシンドイ

本堂裏からの登山道は、東側のコースです。
途中に、身延最古の「十如坊鬼子母神堂」や、徳川家康の側室の"お万の方"が寄進した仏像がある「丈六堂」など見所がたくさん。
歴史ロマンを感じながら登るのは、いつもと雰囲気が変わって素晴らしい体験です。

しかし、ここの傾斜がなかなかなもので、ここを登るのはけっこうシンドイ。
スタートの「三門」の標高が200mで、頂上の奥の院が標高1153m約950mを登りますから、それなりの準備が必要です。道はわかりやすく迷うことはないですが、勾配のきつさが印象的でした。

自分の過去を振り返りながら、勾配のきつい山道を一歩一歩すすみ、途中にあるお堂で手を合わせる。頂上に着くころには汗だくで、汗と共に心の穢れも流れた気がしました。


●頂上で休憩

頂上に着いたのは、11時半ごろ。ここからの眺めは最高でした!
苦労して登った甲斐があったというものです。
山頂からの富士

この日は快晴で、富士山が大きく見えました。
まだ雪がけっこう残っていましたが、いつまで残っているのでしょう。

久遠寺境内上から

 こちら↑は、上から見た久遠寺境内。

山頂には、お土産屋に食堂、トイレもあり、しばし休憩。
持ってきた携帯食を食べて、「奥の院・思親閣」をお参りしてから、 今度は、西側のコースを下りました。


身延山を下る

西側のコースは、午前中に登った東側コースに比べて、多少なだらかです。
上の方は砂利の林道という感じで、下になると多少トレイルもあります。
ジョギング程度のスピードで降りました。
下りは楽でいいですね~

西側コースには、いくつかお堂などがありますが、見どころは「千本杉」です。
県指定の天然記念物の杉もあります。

千本杉

途中、カモシカを見かけました。最近、山にシカやイノシシなども増えていると聞きますが、カモシカを見たのは初めてでした。何やら一生懸命食べていた様子で、距離も遠かったこともあり、完全にこちらの存在は無視していたようです。シカにシカトとされれました・・・

下りは早いもので、ふもとの道路まで約1時間。
山の中は涼しく、トレランには最高の季節だったと思います。

そして、登山道入り口がある本堂境内にもどり、山梨県の名物「信玄餅」を買って帰りました。


トレラン大会「修行走」とは?

ところで、
この身延山では、11月末に「修行走」というトレラン大会が開催されます。
皆さん、ご存知でしょうか?
こちら↓がそのポスターですが、滝に打たれる修行僧がなかなかいい体してますねぇ。
s-修行走TOP
(サイトはこちら→身延山 七面山 修行走

実は、私はこの大会を知らなかったのですが、今回、山頂の奥の院で、大会運営をしておられるお坊さんに偶然お会いして、この大会について知ることとなりました。

今回の私たちのトレランのコースは、この「修行走」のショートコースとほぼ同じだったようです。
同行した友人はこの大会を知っていたそうですが、大会のコースまでは知らなかったようです。

午前中の登りで、たまたまこの大会のコースを試走(試歩?)できたわけですが、ちょっと参加がためらわれます。お堂などを見て休みながら山を登るのと、レースに出場して休まず登るのとではわけが違うからです。

修行走のコースです↓(赤がショートのコース。図は同サイトより)
s修行走コース


詳しくは同サイトの修行走 修行道のご説明 をご覧ください。

ロングコースは、奥の院を登った後に標高1714mの七面山を登るようです。
考えただけでも、両脚に乳酸がたまりそうです。

歴史ロマンあふれる大会です。いかがでしょうか?

ちなみに、こちら↓が、身延山山頂より見た七面山です。
七面山


 
●前回記事
GWラン2017(その1)浜名湖56kmをターサージールで走ってみた

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