なぜ走る? 文化系レベルランニング

東京マラソン2010にたまたま当選してしまった「読書が趣味」の文化系人間。 それ以来、50歳を過ぎた今も、なぜか走り続けています。 走ることにどんな意味があるのか? 「からだ」「こころ」「グッズ」「レース」「本」などから、走ることについて考える、ランニングブログです。

2017年01月

先日、新しく購入したライトレーサーの感想でサイズが大きかったため靴擦れができたと書きました。
「大きいシューズは長・速・坂に気をつけろ! 続「ライトレーサー TS5」

ちょっと気になったので、考えてみると思い出したことがありました。

それは、過去に靴擦れが起きたレースは暑かったということ

決して自慢するようなことではありませんが、私はけっこう汗をかく方で、10段階で汗かき度を表すならば、8ぐらいにはなると思います。

足に汗をかけば当然摩擦が大きくなって靴擦れが起きやすい。靴擦れ対策としてテーピングをするため(前回記事:「ランナーのための靴擦れ防止法をご紹介します」)、以前のように靴擦れは簡単にできなくなっていますが、
「足のむれ」も靴擦れと関係がありそうです。


ライトレーサーとターサージールの通気性の違い

しかし、以前ターサージールで40km走ったときは、秋口で気温も高いのに靴擦れは起こりませんでした
もちろん靴底の厚さや重量など、靴のつくりの構造自体が違うために単純な比較は出来ませんが、もしかすると、足をつつむ素材や厚さなどの違いによって通気性が違うために靴擦れも起きたり起きなかったりするのではないかと感じました。

そこで、ライトレーサーとターサージールを比較してみました。

写真で比べてみましょう。

こちらがライトレーサーの画像↓

LyteracerTR5

こちらがターサージールの画像です。↓

TartherZeal3

ライトレーサーは、つま先側のグレーで囲まれた部分に薄い樹脂の膜が貼られ、防水加工らしきものがほどこされています。部活トレーニング用ですから、雨の時も想定しているかもしれませんが、ここに水が通らない分だけ足が蒸れやすくなります。ターサージールには同様の加工はありません。

また、ターサージールにはアシックスのロゴマークの4本線の部分に穴があり通気が良くなっていますが、ライトレーサーにはありません。

単純に見ただけでも、ライトレーサーはターサージールと比べて、通気性が劣ります。ターサージールは、ある程度の速いスピードで走るランナーがターゲットで、体温や摩擦で靴内の温度が上がり汗をかくことも想定しているのでしょう。

ライトレーサーで靴擦れが起きたのは、サイズが少し大きかったことに加えて、通気性がよくなかったことも原因の一つであるようです。


通気性って大切かもしれない

通気性に関しては、足が乾燥しているひとはあまり問題はないですが、足に汗をかきやすい人は、靴のサイズの他に通気性にも注意が必要です。新しく買ったライトレーサーはクッション性を重視して選びましたが、履き心地は、軽さやフィット感、通気性など総合的なものだとわかりました。

通気性に関しては、初心者向けのランニングシューズでは、あまり考慮されてないものが多いかもしれません。
通気性が良いものが見つからない場合、足が蒸れやすいひとは、サイズがピッタリのものを選び、足が内部で動かないものを選ぶのがよいかと思います。そして、試走してみて、靴擦れが起こる場所には予めテーピングを貼はるなどして、靴擦れ対策をしっかりしましょう。

足の蒸れを考えると、靴下もまた大切ですね。良い靴下がないか、近いうちにまた探しに行こうと思っています。


良いランニングを!




 

サイズ大きい靴は靴擦れになりやすい、と前回こちらの記事「大きいシューズは長・速・坂に気をつけろ! 続「ライトレーサー TS5」」で書きましたが、靴擦れができやすい場所がわかっている場合簡単な予防法があります。

それはテーピングです。

(※前回記事では、新シューズの試し履きのためテーピングはしませんでした。)


私はランニングを始めてすぐのころ、靴擦れに悩まされました。
3kmくらい走ると靴擦れができて走れなくなることが何度かあり、テープを貼ってみたのです。
ランニングのトラブルについては、腸脛靭帯炎に数年悩まされましたが、靴擦れの方はテーピングで意外とあっさり解決しました。



テーピングテープによる靴擦れ予防法


方法はいたって簡単。

靴擦れやすいところにテーピングテープを貼る。

以上です。とてもシンプルですね。

絆創膏でもよいかもしれませんが、足裏の大きな部分を覆うことができませんし、パットの部分の厚みや粘着力も気になります。

テーピングテープは、私はすでに何度も使用して実績がありますので、お勧めします。

私が使ってみて一番良かったのは、ドラッグストアなどで売っている白くて伸びない布タイプの普通のテープ。幅は38mm。
こちらです↓




このテープは鋏がなくても手で切ることができます(女性のランナーはもしかするとできない方もいらっしゃるかもしれません)
このテープはトレランで捻挫をしたときにも活躍した優れものです。
また、男性で乳首が擦れる方は、乳首に貼ってチクビズレ(?)の予防もできます


私が貼るのは、足裏の横アーチ部分。足の親指後方から小指後方に真っ直ぐ貼ります。少し長めに切って足の甲にかかるくらいにします。足の形に合うように貼り、突っ張らないようにするのがポイントです。
足の小指も時々擦れるので、レースの時は小さく切って貼ります。

ランニングの靴擦れを恐れている方はぜひお試しください。


<注意点>


・テーピングテープはいろいろな種類があります。自分に一番合うものをご使用ください。
・テープの糊(のり)でかぶれてしまうことがありますので、肌が弱い方はご注意ください。
・関節や筋肉のサポート用のものは伸縮性があり、擦れるとたるんでとれてしまう危険性があります。
・使用に際しては、各自の自己責任でお願いします。トラブルについては、当方は責任を負いません。


 

先日、「<シューズ紹介> 部活じゃないけど! ライトレーサー(LYTERACER) TS5」という記事で、新しく買ったランニングシューズ(ライトレーサー TS5)について書きました。その後、何度か使用しましたので、今回はその続きです。

このシューズのサイズがやや大きかったとお伝えしましたが、それを踏まえての使用感です。
次の1、2、3の順番で走りました。


1. ランニングマシン(トレッドミル) : 8km × 4回

まずはジムのランニングマシンで使用。
初回はウォーキングから始めてペースを上げ、時速10~12km(キロ6~5分)で走ってみました。途中、ヒモが緩くて足裏が滑るのですべての穴をきつく締め直しました。
滑りは改善された反面、一番上の穴の近くが窮屈に感じましたが、3kmぐらい走るとそれも解消。
かかとはしっかりとホールドしますが、やはりサイズが大きく足指付近がゆるい。地面を蹴るときにしわができて足に当たります。ただ、軽さとクッションはとても快適
2~4回はヒモをきつく締めて初回と同じ感じで走りましたが、体調により体が重い日もありました。シューズの履き心地は同じ印象で、最後は足に当たっていたシワもなくなりました。


2. 市街地道路ランニング : 6km × 1回

室内の試走を終えて、今度は時速11km(キロ約5分半)ほどで外をゆっくりと。
ランニングマシンのゴムベルトとは違い、硬い道路は反発力を感じさせます。ここで靴底のクッションが衝撃を和らげることを確認。やはり私レベルではクッション性があった方がいい
ランニングマシンで感じた足指の緩さは外ではあまり気になりませんでした。その理由は、環境が変わって注意がそこに向かなかったからか、何度か走るうちに素材が足に馴染んだからかもしれません。
外を走り終えると、軽いしクッションもあるこのジュースならフルマラソンのレースでも使えるかもしれないと期待しました。


3. アップダウンのある公園 : 25km × 1回

最後は、山の公園の坂道を走ってみました。
半分はアスファルトの舗装路、半分は砕石を敷いただけの林道で、最大高低差は約100m。アップダウンがあるので、平均すると時速10km(キロ6分)ほどで走ったと思います。

最初の5km程は、下り坂では靴底のクッションが効いて快適でした。その後しばらくすると、足の裏が滑るのが気になりだしました。特に下り坂では、靴の中で足が前に滑って爪先が詰まってきます。滑らないように足指や足首の角度を微妙に調整しながらの走りとなり、下り坂はなかなか忙しくなりました・・・。
15kmぐらい走ると、下り坂で左足の指と足裏に軽い靴擦れを感じるようになりました。足指と足首で調整しても収まる気配はありません。しかし、上り坂では収まるため走り続けました。
20km以降は靴擦れが確定。痛む部分になるべく靴が当たらないように、足をかばいながら走ることに・・・。
車までの残り5kmはなるべく痛くならないように、変なフォームで走りました。
靴擦れは、幸い水ぶくれまではいかず赤くなった程度で済みましたが、サイズの大きいライトレーサーはフルマラソンのレース候補からは脱落しました。



サイズが大きいシューズは長・速・坂は注意

サイズが大き過ぎたライトレーサーTS5は、坂道では足への負荷が大きく、靴の中で足が動くため問題がありました。ただし、ワンサイズ大きい靴でも、ゆっくり目で平坦な道を走る分には問題は少なそうです

距離については、まだ足の筋肉が弱い初心者ランナーは身体がぶれて足への負担が大きいため、大きい靴は5kmぐらいでも靴擦れになってしまうかもしれません。
フルマラソンを走るとなると、大抵のランナーは30kmを過ぎれば疲れてフォームが崩れてきますので、大きめの靴はトラブルの危険性が高いです。

私のライトレーサーTS5に関しては、平坦な道路の練習用にすることにしました。サイズさえ合えば、時速10km~13.5km(キロ約6~4.5分)ほどで走る分には悪くない印象です。
もう一度適切なサイズで購入してみようと思います
(当分先の話ではありますが)。







 

先日、ランニングの練習を終えてジムに行き、ストレッチをしていて自分の身体が数年前と比べて大分柔らかくなっていることに気付きました。


身体が柔らかくなったのは、フルマラソンを完走するために、身体のあちこちをメンテナンスする必要があったからです。
例えば、20km走ると足の筋肉が張りますが、硬くなった筋肉をストレッチやマッサージをしてほぐすことが必要です。
また、走ることで膝や腰が痛むことはよくあることですが、痛みは他の部分の歪みから生じやすい。身体の歪みを修正したことも柔軟性が出てきた理由のひとつです。


マラソンで身体に注意が向く

マラソンのために身体のいろんな部分を直しました。腸脛靭帯炎を起こすガニ股や、腰が落ちて疲れやすくなる猫背など。その副産物として、かつて悩まされていた慢性的な肩こりが今ではほぼ解消されています。
また、体重が重いとレースタイムに影響するため(関連記事:1kg減で3分短縮? フルマラソン前にどう食べるべきか・・・)、食べ物にも気を遣うようになりましたし、練習日の前日には基本的にお酒は飲みません。
レースでは水分補給が重要なため、自分が飲むものには敏感になりましたし、レース前のトイレも大切ですので、自分の胃腸の状態もよく意識しています。

つまり、マラソンを始めたことで、自分の身体の状態についてかなり敏感になったということです。



マラソンに出会う前

マラソンを始める前はどうだったかと今振り返ってみると、自分の身体の状態はほどんどわかっていませんでした。
30代の終わりまで悩まされていた肩こりは、肩から背中への身体的違和感を無視していたことが原因でした。肩甲骨まわりはしこりができるほど固まっていたにも関わらず、本気でケアをすることはありませんでした。身体の仕組みを今ほどわかっていなかったこと。今よりも若かったため自然な回復力がありそれに頼っていたこと。頭を使うことによる刺激を重視して、身体は二の次にしていたことがその理由だったと思います。

マラソンを始めてから8年になりますが、スマートフォンの影響で頭脳偏重の生活はさらに進んだ様子で、身体が発するシグナルがさらに軽視されるようになったと感じています。


マラソンはシンプルに身体重視

マラソンは極めて身体的な競技です。
駆け引きやテクニックは球技に比べれば少なく、競技時間がとても長い。しかもゴールまで休憩はありません。世界のトップ選手はフルマラソンでは2時間強で、短距離100m走なら10秒弱ですから、この競技時間の違いをあえて比べてみると、驚くべきものがあります。
100m走では、スタートからゴールまで身体動作がけっこう違うはずですが、マラソンではスタートからゴールまでほとんど変わりません。ずっと同じ「走る」という動作を繰り返します

何時間も同じ動作を繰り返し、それをなるべく早く行う。これがマラソン競技の基本だと思います。
身体を動かす技術はシンプルなものですが、その分だけ、体調や栄養、練習と休養といった身体自体に関わることが重要視されます。身体の鍛錬以外に栄養や休養がこれほどまでに重要視される競技が他にあるでしょうか?


身体は「今」の自分です

マラソンは身体自体の性能を向上させていく競技であるがゆえに身体に敏感になっていく。その結果、私はかつて頭脳を偏重し身体軽視をしていたことに気付きました。
マラソンのために体調にも敏感になりました。そのせいか健康診断を受けても何も問題がありません。慢性的な筋肉痛のようなものはありますが、生活習慣病とは無縁です。

自分の身体に敏感になること。
マラソンをはじめとする長距離走は、刺激が大きくなり過ぎた大脳偏重生活に変化をもたらし、自分の身体というものの存在を知らしめてくれます。身体は「今」の自分です。過去も未来も脳が作り出したものです。自分の今というものをしっかり考える機会をマラソンは考えさせてくれます。

もし過去や未来を考えることで不安を感じるようなことがあれば、マラソン大会に出て自分の身体をイヤというほど味わってみるのもよいかもしれません。



女子マラソンで92年バルセロナ五輪銀メダル、96年アトランタ五輪銅メダルを獲得した有森裕子さんの自伝的著書「わたし革命」から学んだことについてです。
(有森さんのアトランタ五輪の激走については、よろしければこちら(ランナーは今年この1冊から始めてみよう!村上春樹著「Sydney!」)もお読みください)


輝かしい経歴をもつ有森さんはですが、子供のころから才能を認められていたわけではありません。
中学時代は陸上部が休部状態だったためバスケット部に所属。高校では陸上部に入ろうとするも、陸上の名門校だったため顧問の先生から入部を断られてしまう。それでも諦めない有森さんは毎日顧問の先生にお願いして1ヵ月後にようやく入部を許されました。

有森さんのマラソンの第一歩はこんな風に始まったわけで、もともとの素質があったわけでないことは、ご本人もお母さんも、 高校の部活の先生も、実業団の指導者であった小出監督も認めているところでした。

そんな彼女がオリンピックに2回出場し、2つのメダルを獲得できたのは、高校陸上部に入部したときのような意志の強さと粘り強さがあったからです。

有森さんは以下のように書いています。

"幸いだったのは、わたしが短距離ではなく、長距離を選択したことだ。カール・ルイスやジョイナーなどの例でもわかるように、短距離はからだの素質が大きくものをいう。それだけに記録を出せる時期は短い。年齢も限られてくるので、競争は熾烈を極める。
ところが、長距離や、人生のほとんどのことに言えるのだが、ある技術を身につけることはからだの素質や生まれ持った才能というより、自分が何をやるのか、やりたいのかをまず決めることからはじまる。
「精神面の強さと自己管理のうまさ、目標への挑戦、の項目で最高点、計画性、困難の克服、精神的強靭さ、節制においても高得点」のちに、わたしは陸連女子委員会の調査研究部長から、こんなお墨付きをもらったが、「駄馬」がサラブレッドに追いつくためには、それしかなかったのだ"


マラソンと人生に共通していえることは、長い戦いであるということ。上の文章を要約すると、長期戦で結果を出すために必要なことは、次のようになります。

まず自分の目標を定め挑戦する。
精神面を鍛えて自己管理を徹底する。
あきらめずに計画を実行していく。


シンプルで単純ですが、この方法を実践していくことはとても難しいことです。
そもそも自分の人生における目標が見つけられる人間は多くはありませんし、当たり前のことを当たり前に実行することがどれ程難しいかは、私も40代の半ばにして痛感しています。

しかし、才能・素質の問題ではないので、難しいからと言って不可能なわけではありません。長期戦の問題は、やりぬくことさえできれば目標を達成てきる可能性がグンと高くなります。

努力を継続できることも才能の一つと考えられますが、身体的な違いによる問題と比べれば、目標に向かって集中し継続していくということはどんな人にも可能です。

有森さんの言葉からは、当たり前のことを当たり前に実行することの大切さを改めて知らされました。
マラソンは人生に似ているということはよく言われますが、またマラソンの達人からひとつ学んだ気がしています。

 
 

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